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とあるオクサマのニチジョウ
第8章 ドキドキオクサマ
罵声か凌辱される覚悟を決めていた恭子は当然戸惑う。
そればかりか、近付いていた気配は僅かに遠ざかっていく。
…えっ!?……なに?…何なの………
依然として鼓動は早い。
一度感じた恐怖心は簡単には拭えず、胸やワレメを晒すカラダは強張った儘。
それでも、何もされて無い事に、固く閉じていた目の力が緩んでいく。
怖い物見たさの感情が、俯いている恭子の瞳を開けさせた。
上目に気配がする方へと視線を向ける。
垂れた前髪の間から、スーツ姿の男の背中が見える。
相変わらず、下を向いた儘の男。
…えっ!?…ちょ……なに?……
いくら下を向いていても、他の気配に気付く筈だった。
ましてや、歩きながらであれば、ぶつからないようにと注意を払い、度々前方を確認するのが常。
それが、スーツ姿の男は、手元の雑誌に夢中になりすぎ、全裸に近い状態の恭子に気付かないで遠ざかっていた。
胸やワレメを隠す事などすっかり忘れて、男の行動に呆然とする恭子。
男は視線を背中に受けた儘、恭子が居るベンチとは反対側にあるベンチに腰を下ろした。
…助かったのか…まだピンチなのか………
十数メートルの距離を置いて、恭子と向かい合うように座った男。
視線は相変わらず、手元の雑誌に向けられた儘。
俯きながら様子を伺う恭子の鼓動は、依然として速い儘だった。