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とあるオクサマのニチジョウ
第8章 ドキドキオクサマ
短い黒髪に日焼けした肌。
雑誌を見続けて俯いている顔は良く見えない。
若干大柄な体躯は、スーツに着られているような印象。
とても、遣り手の営業マンが一休みで公園に来た雰囲気ではなかった。
…私に…気付いてない…?…
……でも此処で…動いたら流石にぃ………
男は熱心に雑誌を見ては、パラパラとページを捲る。
大したことのない距離。
いくら雑誌に夢中になっていても、ベンチから立ち上がれば気配を悟られる可能性は否めない。
先程の男の様子から、気付かない可能性も考えた恭子だったが、未だに身動きが取れずにいた。
チラチラと視線を送りながら、男の動向を観察する。
依然として剥き出しの儘になっている胸と股間。
それぞれに両手があっても、豊満な胸は隠れきれている訳でもなく、股間は黒々とした陰毛を露わにした儘。
…私……一体…どうしたらぁ………
ある程度ヒールのあるサンダル履き。
見も知らない男の前に裸同然の姿。
万が一見られて走って逃げようとしたところで、簡単に追い付かれるのは安易に想像がつく。
パラパラと雑誌を見詰める男は、未だに気付いた素振りも見せない。
逃げきれる可能性を打ち消し、早い鼓動を感じながら様子を伺い続けた恭子。
胸と股間に伸びていた両手に僅かな力が込められた。