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とあるオクサマのニチジョウ
第9章 小麦色と白いオクサマ
閑静な住宅街の道端に向かい合う二人。
露出が激しい白い肌の女性と、小麦色の肌の女性。
たまに通り過ぎる人影は、怪訝な視線や好奇の視線を二人に送りながらも去っていく。
「最近…正行さんの声…してないなぁって思ったからさぁ……」
顔を覗き込んだ杏子の顔がニヤッと笑みを浮かべた。
「あ……そ、そぉ?」
早まる鼓動を気にしながら言葉を吐き出す恭子。
他の女の所に入り浸っているかもしれないとは言えない。
「恭子姉の…あの声もしないしさぁ……」
杏子が言わんとする事も分かり、恭子の鼓動は早さを増す。
「それはぁ……アンズちゃんと違ってぇ……こ、声……抑えて………」
「恭子姉って……自分が思ってるより…声出してんだよ?」
恭子の言葉が遮られた。
明るい口調が、一瞬にして冷ややかなものへと変わった口調。
「えっ!?」
切り替わった口調に杏子へと視線を向ければ、ニヤッと笑みを浮かべた端正な杏子の顔。
…一体……何が言いたい…の?………
ドクンドクンと鼓動が早くなる。
一度見詰めた杏子の目から視線が外せない。
不安だけが恭子の頭を過ぎっていく。
強張りを見せる恭子を前に、杏子の口角が僅かに上がった。
「あたし……起きてたんだけどぉ」