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とあるオクサマのニチジョウ
第9章 小麦色と白いオクサマ
 
「あ…あ……ああ………」

 一瞬にして、脳内が真っ白になる。

 膝は疎か、体中が震え出す。

 俯いた顔に目を大きく開いた儘、言葉にならない声を洩らす。

 杏子が吐き出した言葉。

 その言葉が意図するもの。

 意味するものに思い当たる節がありすぎる恭子。

 冷ややかに覗き込む杏子の顔を直視する事が出来ない。

「あ……。やっぱりねぇ……」

 無意識に顔を背けた恭子に、確信を持った杏子の言葉。

「あ…あれ……あれ…は……」

 言葉を吐き出そうとしても、掠れるだけで儘ならない。

 ましてや、何を言ったところで、杏子には言い訳でしかなかった。

 寝ている杏子の横で、正俊のモノをワレメに咥え込んだのは紛れも無い事実。

 正俊のモノで喘いだのは、杏子ではなく恭子。

 従妹の男と肌を合わせた事実から逃れる事は出来ない。

 見詰めてくる杏子を前にして、恭子の体の震えは大きくなるだけだった。

「……でさぁ…恭子姉ぇ?」

 目も合わせられず、ただ、恐怖で体を強張らせていた恭子の耳に、杏子の物静かな声が飛び込んだ。
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