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とあるオクサマのニチジョウ
第9章 小麦色と白いオクサマ
 
 ガラッと寝室の引き戸が開く音に、恭子の肩が軽く跳ねる。

 タオルケットと布団の隙間から、視線を隣へと向ける。

 薄暗い空間に浮かぶ、寝転んだ杏子の後頭部。


…アンズちゃん……この儘だと…ホントに………


 引き戸から近寄ってくる気配を感じながら、狸寝入りを続けている杏子に複雑な気持ちで眼差しを送る。

 いくら負い目を感じているとは言え、従妹の同居人、婚約者と言っても過言ではない男に体を預ける戸惑い。

 言われた通りに、杏子が寝ている隣で正俊のモノを受け入れなければならない事に、今更ながらに後悔が過ぎる。

 そんな複雑な想いに苛む恭子を余所に、隣の杏子は壁際を向いた儘横たわり、寝息まで洩らしていた。

「……キョウコ……」

 薄いタオルケットを通して、正俊の呟く声が耳に届く。

 剥き出しの下半身に近付く気配に、恭子の鼓動は強くなる一方。

 裸体を覆うタオルケットは薄い筈が、恭子は緊張からか暑さを覚え始める。

 無意識にタオルケットから伸ばした脚が組み変わる。

「…また…こんな恰好で……」

 やけに鮮明に聞こえる正俊の声。

 暗がりの中でも、正俊の視線は的確に股間に突き刺さる。


…また……私の…アソコ……見られ…てるぅ………


 杏子の言葉を守る恭子は、仰向けになった体を隠す事が出来ない。

 太腿をピタッと合わせながらも、整えた陰毛を晒している事に固く瞳を閉じるしかなかった。
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