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とあるオクサマのニチジョウ
第11章 Scene.01
「あっ…漸く笑ったわね」
益々破顔する杏子の言葉に、恭子は心苦しさを感じる。
最近、笑みを浮かべた事が無かった事は自覚していた。
「そ、そお?」
杏子の気遣いを察した恭子は、再び表情を固くさせた。
昔から、血は繋がらずとも、姉と慕ってくれている杏子。
普段は男勝りでも、本質は人が良く優しい従妹。
…アンズちゃん……
…そんな優しくして貰う程…私………
…優しくされる資格なんて…無いのに………
いつも笑みを浮かべて接してくる杏子。
今も、小麦色の整った顔立ちから白い歯を覗かせて、眩しいと思わせる程の笑顔を見せている。
…今日だって…私を元気付けようと………
「あっ、また顔ー」
再び笑みを失った恭子の表情を見て、杏子の向日葵の様な笑顔が曇る。
「あっ……。え、えっと………だ、大丈夫よぉ?」
恭子は言葉を詰まらせながら笑みを浮かべて見せた。
…ちゃんと…笑顔になってるか分からないけどぉ………
一抹の不安を覚えた恭子だったが、再び杏子が笑顔を見せた事に胸を撫で下ろしたのだった。
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