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とあるオクサマのニチジョウ
第11章 Scene.01
「………で?」
恭子は再びジトッとした視線を杏子に向ける。
「あ……いやぁ………。
やっぱ、お風呂上がりって言ったらさぁ………」
恭子の本心は呆れていないと分かっている杏子は、言葉を詰まらせながらも笑みを浮かべた儘。
「んまぁ、付き合うんだけどねぇ」
再び表情を緩めた恭子は、ビールを注がれたジョッキを持ち上げる。
「最初っからその気だったくせに」
対面する杏子も笑みを浮かべた儘、ウーロン茶の入ったジョッキを持ち上げると、恭子が持ち上げたジョッキに軽く当てる。
スーパー銭湯から程近い居酒屋。
カチンと軽い音が二人の耳に飛び込めば、二人は更に表情を緩めた。
「でもぉ…。さっきのアンズちゃんの台詞ぅ。ビール呑むなら分かるけどぉ………」
「い、良いのよっ。雰囲気なんだから、雰囲気っ」
「ビール一口でベロンベロンになっちゃうってのもねぇ………」
「しょ、しょうがないじゃないっ。体質なのよ、体質っ」
ニヤッと笑みを浮かべる恭子に、杏子は唇を尖らせる。
「でもさぁ………」
「んん?」
反撃とばかりに口を開いた杏子に、ポテトを咥えながら小首を傾げた恭子。
「夜中とかに足音するけど………。恭子姉……最近、夜遅かったりして大丈夫なの?」
何気なく疑問を口にしただけの杏子。
暗に正行との事を示唆していると読み取った恭子は、軽く肩を跳ね上げた。
「だ、大丈夫よぉ」