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とあるオクサマのニチジョウ
第11章 Scene.01
 
 女二人の宴も、気付けば夜も良い時間になっていた。

 騒がしかった店内を見回せば、恭子たちを除いて数人程度の客しか居なかった。

 どちらともなく居酒屋を後にして、夜道を並んで歩いていた。

「こうやって歩くのも久し振りねぇ」

 酒量を抑えた恭子は、足取りも確かに進む。

「お互い、色々あるしねぇ」

 何処と無く含みを込めた言い方をする杏子は、ウーロン茶だけだっただけに当然素面だった。

「そ、そうよねぇ………」

 チクチクと何やら含みを持った杏子の言葉。

 度々向けられる言葉に、恭子は酔いたくても酔えなかったのだった。

「んで、結局の所はどうなの?」

 何回目かの質問に、恭子は苦笑を浮かべる。

「いや…まぁ……ねぇ………」

 そして、言葉を濁す。

 このやり取りも、最早両手の指では足りないくらいに繰り返されていた。

「まぁ、生きてれば色々あるんだろうしぃ………」

 屈託の無い笑顔見せる杏子の言葉に、恭子の表情は曇りがちになっていく。

「あたし……何があっても……恭子姉には幸せになって欲しいな」

「アンズちゃん………」

 長い付き合いの従妹の言葉に、ズキッと胸を痛める恭子。


…幸せ…かぁ………
…私……なれるのかなぁ………


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