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とあるオクサマのニチジョウ
第12章 Scene.02
「いやぁ、若い奥さんで羨ましいです」
「はははっ。そんな事はないよ」
正行の隣に座った恭子は、酒に良い始めた二人の会話に、料理をつまみながら愛想の笑みを浮かべるだけだった。
…むぅ…やっぱり…どっかでぇ………
その笑顔の裏では、相変わらず、思い出せない事に悶々としていた。
「まぁ、霧島くんも早く見付ける事だよ」
…そう言ってる本人は、妻をほっといて若い女とイチャイチャですかぁ?………
笑顔の裏で毒気吐く恭子。
「あ、いや……私はぁ……そうですねぇ」
正行の言葉に歯切れ悪く返した霧島は苦笑を浮かべていた。
…えっ?…なに?……何か意味深なんだけどぉ………
笑顔の裏で、スキャンダルに夢中になる主婦の如く興味津々な恭子。
「何だったら、ウチの奴…やろうか? あっはっはっ」
恭子の肩を軽く叩いて笑い飛ばす正行。
…一瞬ドキッとしちゃったんですけどぉっ…
…確かに霧島さんなら…爽やかだし若そうだし…体格良いからえっちも凄そうだしぃ………
…って…私は物じゃないんですけどぉっ………
笑顔の裏で妄想に入りかけては、正行の発言に怒りを覚える恭子。
「いやぁ。奥さんみたいに若くて綺麗な方なら嬉しいですけどねぇ」
チラッと視線を向けた霧島と視線が合った恭子。
…ホントっ!?……
…お世辞でも嬉しいんだけどぉっ………
愛想笑いを続けながら、目まぐるしく感情を入れ替えていた恭子の笑顔が一段と輝いた瞬間だった。
気付けば、つまんでいた料理は綺麗に無くなっていた。