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とあるオクサマのニチジョウ
第13章 Scene.03
 
 二人の間をピューッと風が吹き抜けた。

「あは……そう…ねぇ………」

 最早、オナニーをする気分などなれもしなかった。

「此処、静かだから昼間は気分良いけどねぇ」

 静かにするどころか、言葉を吐き続ける真希の天真爛漫な雰囲気に、恭子の体の火照りも鎮まっていた。

「そうだけどぉ。ホントに危ないわよぉ?」

 足元に散乱している使用済コンドームが嫌でも視界に入る。

「んまぁ、汚いけど……。それは気にしないっ」

 ローファーの爪先でコンドームを蹴り飛ばす真希。

 その行動には、恭子の頬は引き攣るだけだった。

「え、えっと………。此処より…良い場所…あると思うんだけどぉ………」

 少なくとも、真希の様に純粋でいながら、肉感的な体に発育している女の娘が居てもいい場所ではなかった。

 万が一、素行の悪い男が来れば、小柄な真希の力では抵抗しきれずに撓わな胸を弄ばれて、整った顔を苦悶に歪めるのは目に見えている。

「んじゃさぁ………」

 恭子の心配に、マンガ本をパタンと閉じた真希が恭子を見上げる。

「お姉さん………いい場所…知らなぁい?」

「………ふぇっ?」

 まさか、訊かれるとは思っていなかった恭子の間が抜けた声が公園に流れた。


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