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とあるオクサマのニチジョウ
第13章 Scene.03
 
「……で、薄井くんったら美奈ちゃんのねぇ………」

「あらあらぁ」

 楽しげに学校であった事を話す真希に、恭子は気付かない内に笑顔で相槌を打っていた。

 しかし、話に夢中で周りを見ていない真希。


…これ……次も付き添いありそうなパターンなんだけどぉ………


 道順を覚えているとは到底思えない真希に、恭子は一抹の不安を持つ。

「あっ。恭子さんっ恭子さぁんっ」

「はいはい」

 突然叫ぶ真希に平然と返事をする恭子。


…何で真希ちゃん……
…こんな私に懐いてるんだか………


 向日葵の様な真希の笑顔が、恭子には眩しい。

 恭子はTシャツとミニスカートの下に下着は無く、露出に興奮しているイヤらしい姿。

 純粋無垢な真希の隣に居てはいけないという思いが、恭子の脳裏を過ぎっていく。

「あのさぁ。恭子さんの連絡先……教えて?」

 携帯を取り出した真希。

 小首を傾げて、飾り気も無く赤い携帯を両手で胸元に持って見上げてくる真希を前に、恭子は表情を曇らせる。


…もう…これ以上……真希ちゃんと関わるのは………


 不安げな表情を見せる真希に、恭子は思考を重ねて口を開いた。

「あらぁ…真希ちゃんゴメンなさぁい……。…私…携帯忘れてきちゃったみたぁい」

 途端に残念そうにする真希の表情を、直視出来ない恭子。

 その手にしたバッグの中には、しっかりと携帯が入っていた。
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