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とあるオクサマのニチジョウ
第13章 Scene.03
「んじゃ……はいっ」
腕を伸ばす真希。
差し出した指先には紙が摘まれていた。
「あ、あり…がと………」
受け取った紙には、綺麗な文字で真希の連絡先が書かれていた。
「にへへっ。恭子さん、絶対連絡してねっ」
表情を曇らせた儘の恭子を見上げて、真希は笑顔を見せる。
「え、ええ……。分かったわぁ」
「絶対だからねっ」
恭子の言葉に、またもやスカートを翻して、水色と白の縞模様のショーツを覗かせながら走り回る真希。
「ちょ、だから…そんなに走っ………」
「じゃ、待ってるからぁっ。
後は真希、道分かるからじゃあねぇっ」
恭子の言葉を聞かずに、はしゃぐだけはしゃぎ回った真希。
器用に大手を振りながら、後ろ向きで走っていく。
「だ、だからっ。そんな事したら………」
危なっかしい真希の行動に、恭子の心配は尽きないは腕を伸ばし掛ける。
「あっ……あだっ……」
心配通りに、盛大に尻餅を打つ真希に恭子は苦笑を浮かべる。
「だから言ってるでしょぉ?」
「にへへ。失敗失敗。
……じゃ、真希行くねっ」
はにかみながら立ち上がった真希。
短いスカートの埃をパンパンと叩き落とし、笑顔を見せて走っていった。
「…はぁ……」
真希の小さな背中を見送る恭子は軽く嘆息。
小さな背中が見えなくなるまで佇んでいたが、ふと手にした紙を見詰めた。
真希の妙に大人びた文字に、見た目とのギャップを思えば、仄かに笑みが溢れた。
「………今日は…帰ろぉ………」