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とあるオクサマのニチジョウ
第13章 Scene.03
 
「うにゅぅ……やっぱり……返事…来ないよぉっ………」

 携帯を両手で握り締め、恭子に送ったメールの返信が無い事に涙を浮かべる真希。

 真希が握り締めていた携帯に気付いた大男の助言通りに、恭子へとメールを送って二十分以上が過ぎていた。

「………きっと…大丈夫だからさぁ」

 助言した大男も、真希の表情と返信の遅さに困惑の色を濃くしていた。


…一体…この小さい子と……キョウコさんって人の関係って………
…『さん』付けで呼んでるからには親って訳でもなさそうだし………


 膝を折り曲げて目線を合わせながら、ポロポロと涙を流す真希の頭を大きな掌で優しく撫でる大男。

 逆立った短髪に小麦色の肌をした厳つい大男と小さい女の子が泣いている光景は、たまに通り過ぎる人の好奇の視線の的だった。


…それにいつまでも…此処に居る訳にもいかないよな………


 周りからの視線と泣きじゃくる真希に困惑し、真希とキョウコの関係に疑問を持ちながら、大男はゆっくりと立ち上がった。

「…それじゃ……おじさんと一緒にもう一回捜しに行こうか?」

 大男が差し出した左腕。

「うんっ、うんっ」

 真希は泣きじゃくりながら、その大きな掌を小さな手で握り締めた。
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