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とあるオクサマのニチジョウ
第13章 Scene.03
 
「一体…どの辺りなんだろうねぇ………」

「…うん………」

 女の子と手を繋ぎながら辺りを見回す大男に、真希は不安げに声を洩らす。

 そもそも、真希の言う『キョウコさん』の顔も姿も分からない大男はそれだけでも困惑しているのに、更なる困惑を左腕から覚えていた。


…いやいや…俺はロリコンなんかじゃないから………
…確かに小さい手の割にしっかり柔らかかったりするけど………
…そもそも…真希ちゃんって幾つなんだ………
…身長からしたら小学生っぽいけど…あの胸は………
…第一…こんな簡単に手を繋ぐとか………
…困ってるからだろうけど…ちょっと警戒心無さ過ぎなんじゃ………
…って…あの男………俺を変な目で見るなっ………
…ちょっ…何処に電話しようとしてるっ………
…別に誘拐とかじゃないからっ………


 真希を見下ろし、周りの視線に狼狽え始める大男。

 不意に、隣からの視線を感じて視線を下げれば、ジーッと見詰める真希の顔。

「な、何かな? 何か思い出した?」

「おじさん………」

 鼻を啜りながら吐き出された真希のアニメ声に、何を言われるか分からない大男はドキドキと鼓動を速めた。

「………見た目と違って…良い人だよねっ」

 泣き顔に無理矢理笑みを浮かべる真希の表情。

 凝視していた大男の胸がドキッと一際強い鼓動を打った。

「あ…ありがと…ね」

 慌てて逸らした大男の顔は仄かに赤く染まっていた。


…ロリコンじゃない筈なのに…
…何か…ヤバくないか…俺………
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