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とあるオクサマのニチジョウ
第14章 Scene.04
起きてからドタバタし続けた二人がアパートを出たのは十五時過ぎだった。
「ホントに良いのにぃ………」
「そういう訳にはいかないからぁ。私のせいで、真希ちゃんお泊りになっちゃったんだからぁ」
「ちゃんと言ってあるから大丈夫なのになぁ………」
真希を家に送りがてら挨拶をすると恭子が言い出してから、何故か渋りだした真希。
それでも、手にはお土産のお菓子を入れた袋をしっかりと握り締めている。
「真希ちゃんも礼儀はちゃんとしとかないとダメだからねぇ?」
「はぁい………」
傍から見れば、まるで母娘の様な会話を続けながら歩く二人。
恭子に注意されて、真希はぷくぅっと頬を膨らませながらも、その表情はにこやかなものだった。
そんな真希へ視線を向ける恭子も、穏やかな表情を浮かべていた。
「あっ。もうすぐだよっ」
アパートを出て三十分以上が経過し、真希は前方を指差して知らせる。
いよいよ真希の親との対面だと思うと、恭子の鼓動は僅かに速まる。
夜分に外を出歩かせた原因である為に、小言の一つや二つは覚悟を決めていた。
「恭子さんっ。あそこだよっ」
突然バタバタと駆け出していった真希の背中を視線で追う。
一般的な住宅が建ち並ぶ中、一際大きい二階建ての建物も見える。
「たっだいまぁっ」
近所に響く程の、真希のアニメ声。
とうとう真希の家へと着くかと思うと更に鼓動を速めるが、今更引き返す訳にもいかない。
覚悟を決めて、真希が姿を消した建物へと近付いた時だった。
「………えっ!?」
恭子の目が大きく見開かれた。