この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
とあるオクサマのニチジョウ
第14章 Scene.04
真希が姿を消したのは、一際大きい二階建ての建物だった。
よほど裕福な家庭だと思っていた恭子は門の前で佇む。
視線が表札から離れない。
木製の比較的大きい表札には『かがやきハウス』と書かれていた。
…真希ちゃん………
…だから…家知られたくなくて……あんなに渋って………
民間の児童養護施設があるとは小耳に挟んだ事があった。
しかし、真希がそこに住んでいるとは想像出来なかった。
真希の明るい笑顔の裏に隠されていた現実。
一体、真希の過去に何があったのかは分からない。
恭子の脚が門を潜って敷地へと踏み出すのを躊躇っている。
…私……一体どんな顔をして…真希ちゃんと………
イヤらしく淫らな面を見せてしまっただけに、真希との接し方に混乱する。
「恭子さぁんっ。早く早くぅっ」
脚が動こうとしない恭子に、屈託の無い笑顔を見せる真希の声が掛かる。
「え、ええっ………」
真希の声に背中を押され、漸く脚を敷地へと踏み入れる事が出来た恭子。
「にへへぇ。恭子さん、ようこそぉっ」
玄関扉を思い切り開けて満面の笑みを浮かべる真希に、恭子は強張った笑顔を向けるのだった。