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とあるオクサマのニチジョウ
第14章 Scene.04
「わざわざお越しいただいてすみませんねぇ」
「いえ…私こそ突然お邪魔して………。それに昨夜はすみませんでした」
お茶を差し出されて軽く頭を下げる恭子。
初老の女性が向かいのソファーに座ると、申し訳なさげに口を開いたのだった。
「でも、あの子のあんな元気な姿……最近になって初めて見ますよ。
よほど、貴女に懐いているみたいですね」
女性の言葉に戸惑う恭子。
元気の塊の様な真希を毎回見ているだけに、俄には信じられなかった。
「いつも食事の時も貴女の話をしてますしね」
「そ、そうですかぁ………」
改めて、どうして此処まで懐かれているのか分からない恭子は言葉を詰まらせる。
にこやかな笑みを浮かべている女性の前で、困惑の表情を浮かべるしかなかった。
「既に察していると思いますけど、此処は民間の児童養護施設でしてね」
「え、ええ………」
「此処に居る子どもたちは、それぞれに理由があって住んでいる訳です」
真希もその内の一人だと思うと、恭子の表情は曇っていく。
「色々な過去があって、辛い思いをしていた子どもに笑顔を甦らせたいのが私の願いなんです」
「は、はい………」
「ですから、あの子を一時だけでも笑顔にしてくれている貴女には感謝しています」
「い、いや…。そんな感謝される事なんて………」
深々と頭を下げる女性。
恭子は真希を突き放そうと痴態を晒した事を思い出す。
罵倒される事はあっても感謝される事はないと思っていただけに、頻りに恐縮する恭子だった。
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