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とあるオクサマのニチジョウ
第14章 Scene.04
 
…で…寝れないからって……何で私ぃ………


 案の定、横になっても一向に睡魔に襲われなかった恭子。

 夜も九時を過ぎてから、グルッと喫茶店の前を避けて駅前まで来ていた。

 駅前にある建物の二階にあった喫茶店へと入り、足元から天井までガラスになっているカウンター席に座ると、脚を組んで頬杖を着きながら景色を眺めていた。

 ベッドタウンだけに、この時間でも人の往来は途切れる事がない。

 ガラス窓から足元の光景を見れば、通行する人の頭頂部が覗ける。

「………ウリウリ………」

 何の気無しに脚をグリグリと捻り、人の頭を踏み付けるイメージを思い描いて気を紛らわせる。


…妙齢の人妻がこんな時間に一人で何をしてんだろ………


 そんなツッコミも頭を過ぎるが、今の恭子はお構いなしに妄想に耽っていた。

 一頻り、知らない通行人の頭で遊んだ恭子は、再び景色へと視線を移した。

 ゆっくりと視線を動かせば、露出をしながら歩いていた事を思い出す。


…あの建物のトイレで……下着取って………


 人混みの中を薄着でありながら下着を着けずに歩いた。

 マスターに言われるが儘に、アナルにローターを飲み込ませて歩いた事もあった。

 あの時は、まだマスターを信じていた。

 幸せには決してなれないと分かっていても、嫌な事を忘れる快感を与えてくれるマスターに溺れていた。


…今が幸せか…どうかも…分からないけどぉ…
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