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とあるオクサマのニチジョウ
第14章 Scene.04
 
 今はマスターが居なくとも、無邪気な真希が気を紛らわせてくれる。

 依然として露出する性癖にも頼りながらも、真希の存在は恭子の中で大きさを増していた。


…やはり……真希ちゃんに縋りっ放して訳にも…ねぇ………


 中学三年生に大人が寂しさを紛らわせる為に、いつも一緒に居る訳にもいかなかった。

 ましてや、接し方に迷走仕掛かっている今は尚更だった。

 暫し頬杖着きながら景色を眺めていた恭子の口からは、意図せず溜め息が洩れ、無意識に脚を組み直していた。

「………けよ」

「……だってぇ。お前が………」

「………したら俺が先だからな?」

「さっきから一人なんだから、絶対成功するって」

「じゃあ、お前行けよっ」

 不意に飛び込んできた声に、恭子は頬杖を着いた儘で視線だけを向ける。

 それなりに静かな店内。

 会話の発生源は安易に見付ける事が出来た。

「だから…俺は…さぁ…」

「やっぱ、お前だって無理じゃん」

 学生と思わしい男の二人組。

 チラチラと恭子に視線を向けては、ヒソヒソと会話を続けていた。


…あらあらぁ……
…私も…まだイケるのねぇ………


 左手の薬指に指輪を嵌めても、まだ三十路前の年頃。

 ましてや、若く見られる事もある恭子。

 女として噂される事に、恭子は思わず頬を緩めた。
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