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とあるオクサマのニチジョウ
第14章 Scene.04
「………えっ!?」
不意に鉄階段に一番近い扉が開き、中から人影が姿を現した。
顔を合わした事の無かった、杏子の隣の部屋から深夜に突然姿を現せば、思わず声をあげるのも仕方が無い事だった。
階段を上りかけた恭子の脚が止まる。
「ど……どう…して………」
目を見開き、掠れた声が洩れる。
「恭子さんが此処に住んでるとは思いませんでしたよ」
頭上から降り掛かる声は、やはり聞き覚えのある声だった。
…こんな時間に………
…どうして…こんな場所に………
困惑の色を濃くしていく恭子だったが、眼前の男は態度を飄々とした儘だった。
「人妻さんがこんな遅い時間に帰宅とか……悪い事でもしてきたんですかねぇ」
「ち、違っ………」
ニヤニヤと笑みを浮かべる男に、恭子は焦って言葉を詰まらせた。
思わず、悪い事をしているのは正行の方だと言いたくなりかける。
「此処はたまにしか来ないんですけどねぇ…。恭子さんが居るなら、もっちょっとは頻繁に………」
…嘘…
…ホントに……此処に………
頭上から降り掛かる声に、恭子の表情は強張った儘だった。
「それにしても…相変わらず……そそられますねぇ………」
シャツを盛り上げる胸と、短いスカートから伸びる美脚に男の視線が撫で付ける。
「え、えっと……失礼…しますね」
ただならぬ雰囲気を纏い始めていた男の脇を通り抜けようとした時だった。
「まあまぁ。そんなつれない事言わないでさぁ。ナカ出しした仲じゃないの」
「あっ………」
シャツから伸びた細い腕をガシッと掴んだ男。
恭子の体を引き寄せた長崎は、恭子の甘い体臭に鼻を鳴らして耳元で囁いた。
「ちょ…ちょっ……と………」