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とあるオクサマのニチジョウ
第3章 働くオクサマ
…意識しないと思えば思うほど意識が……うぅ………
苦笑を浮かべながら帰宅した妻の表情が印象的だった。
「……恭子さん、これね」
「は、はいぃっ」
トレイを胸に当て、フロアの片隅に直立で立っていた恭子に、カウンターの中から声が掛かる。
…大丈夫……大丈夫…なんだからぁ………
相変わらずトレイを胸に押し付けた儘でカウンターに向かう恭子。
その歩みは、いつもより物静かなものだった。
「…えっと……どうした?」
明らかにいつもと様子が違う恭子に、カウンターの中に居る中年の男が声を掛ける。
「あ…だ、大丈夫ですぅ」
経営者であるマスターの問い掛けに、ニコッと笑みを浮かべる恭子。
しかし、依然として鼓動はドキドキと速い儘だった。
…もう………何であの時…私………
カウンターの中から怪訝な表情を浮かべ、視線を送るマスターの元へと向かう。
大丈夫と言いつつも、制服の裾を気にする恭子の歩みは早くなる事は無かった。
マスターやその妻の制服は喫茶店では良く見掛けるような、至ってスタンダードな物。
しかし、動きにくいと思い込んだ恭子は、スカートの丈が短い制服を頼んだのだった。
ヒラヒラとした裾は、あわよくば、太腿までが覗ける程の丈の短さ。
ノーブラの胸の中は鼓動が早まる一方。
今更、発注した時の自身を恨んでも恨み切れなかった。
今は、一歩進む毎にスカートを気にするしかなかった恭子。
…もぉ……ヘンなお店じゃないのにぃ………
下着を全て洗濯していた恭子。
下着が無かった為にノーブラであった恭子。
短い制服のスカートの下は、やけに風通しが良くなっていたのだった。
…今時…ノーパン喫茶とかぁ………
勝手に喫茶店を風俗店仕様に変えた恭子。
カウンターに辿り着いた頃には、マスターが煎れたコーヒーは冷めていた。