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とあるオクサマのニチジョウ
第5章 葛藤するオクサマ
アパートに着き、屋外の鉄階段を上がって自室へと進んだ恭子は確信を持った。
「んはぁっ…いいっ……いい…よぉっ!」
鮮明に聞こえる、女の嬌声。
脚を止めた恭子の視線の先は、自室の隣の部屋にある扉。
「…アンズちゃん……声…凄すぎ………」
屋外にまで嬌声を洩らして喘ぐ杏子に、思わず苦笑を浮かべる。
「でも…あんなに…声………。
どれだけ気持ち良い事………」
杏子の痴態を思うと、顔の熱さが増していく。
無意識にミニスカートの中で内腿が擦れ合い、クチュッと水音が溢れる。
…アンズちゃんは…ちゃんと…あの人と………
ベランダから今朝挨拶を交わした杏子の同居人。
同棲をしている恋人と肌を合わせて悦びの嬌声をあげている杏子を思うと、マスターに体を許した自分が汚れているとしか思えない。
「…はぁ……」
再び沸き上がった後悔に、溜め息が洩れる。
「んあぁっ……ナカっ……ナカにぃっ!」
絶頂を迎えんばかりの杏子の嬌声が洩れる扉を一瞥すると、恭子は自室の扉を開けた。
「……あれ?」
解錠をした覚えもなく開かれた玄関扉に、恭子は小首を傾げて扉の隙間から覗き込んだ。
「………あっ」