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とあるオクサマのニチジョウ
第5章 葛藤するオクサマ
 
 徐に引き戸を開けて、寝室に全裸で脚を踏み入れる。

「んひぃっ……もっと……もっとぉっ!」

 薄い壁を通して聞こえる杏子の嬌声。

 ダブルベッドの上に、朧げに見える盛り上がり。

「…まさ…ゆき……さぁん………」

 引き戸を開けた儘でベッドに近寄る恭子のクチからは、夫を呼ぶ甘い声が洩れる。

「……ん…んぅ……」

 しかし、既に夢の中へと旅立っている正行からは、恭子の言葉に対する反応は無かった。

 それでも、ゆっくりとベッドに近寄った恭子。

 ベッドの脇から膝を乗せれば、ギシッとスプリングが軋む。


…疲れてるのは分かるけどぉ………


「んはぁあっ……ナカに…ザーメンが…いっぱいぃぃぃっ……」

 絶え間無く洩れる杏子の嬌声に、正行を労る気持ちさえも吹き飛んだ恭子。

「ねぇ……正行…さぁん……」

 腕を伸ばし、尻を突き出して鼻に掛かる甘い声で夫を呼ぶ。

 上書きされたい気持ちも強まる。

「…んっ……んん………」

 横になる正行の体を揺するも、やはり反応は無い。

「アンズちゃんもあんなになってるんだからぁ……
 …私にもぉ…えっち…してぇ………」

 更には両手で正行の体を揺らし始める。

 その間も延々と流れ続ける杏子の喘ぎ声に、恭子のワレメから溢れるおツユが量を増していく。

「私もぉ……ズボズボ……おまんこぉ…ハメてよぉ……」

 子宮まで疼きだしては、昂る興奮が淫語を吐き出させる。

「…ん…んんぅ……」

 それでも起きる事の無い正行。


…疲れてるの…分かってる……
…分かってる…けどぉ………


 そればかりか、体を揺らされて寝返りを打った正行。

 その背中を見詰める恭子の表情は、表現しがたい程に沈んでいた。


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