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とあるオクサマのニチジョウ
第5章 葛藤するオクサマ
「……って訳なのぉっ」
「は、はは……そう…なんだ………」
ほんのりと顔を赤らめた恭子の言葉に、杏子は頬を引き攣らせて相槌を打つ。
「ホントに……どう思うぅ?」
恭子は小さいテーブル越しに体を乗り出し、ズイッと顔を寄せる。
「あ、あぁ……そう…ねぇ………」
恭子の吐き出す吐息に、思わず眉根を寄せる。
…酒くさ……
…まだ…そんなに呑んでない筈なのに………
恭子の吐息と顔の赤さから、酒に酔っているのは一目瞭然。
乗り出した体を包む白いキャミソールの胸元から覗く、豊満な胸の深い谷間。
柔らかそうな胸の柔肉までも赤らめている事に、ウーロン茶で相手をする杏子の表情は強張る一方だった。
「…ところでぇ……」
「な、なに?」
体を乗り出した儘、ニヤッと口角を上げる恭子。
不意に話題を切り替えようとしている恭子に、何処かイヤな予感しかしない杏子は言葉を詰まらせる。
…恭子姉のこの顔……
…絶対……ヘンな事…言い出すに決まってる……
杏子はいつもの事だと、気分を落ち着かせようとグラスに入ったウーロン茶を口に含む。
「……アンズちゃん……えっちの声……凄すぎよぉ」
「ぶぅっ!」
「きゃあっ!!」
盛大に口に含んだウーロン茶を吹いた。
ニヤッと笑みを浮かべていた恭子の顔は、見事にウーロン茶塗れになっていた。