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とあるオクサマのニチジョウ
第5章 葛藤するオクサマ
「な、な、なに……言ってるの…かなぁ?」
動揺を隠せない杏子。
ニヤニヤと笑みを浮かべる恭子の顔を直視出来ず、体ごと顔を背ける。
「いつもは男勝りのアンズちゃんが……ねぇ………」
羞恥に顔を赤らめている杏子の姿に、普段はマゾ気質の恭子の僅かなサド気質が言葉を吐かせる。
「な、なに…よぉ……」
「ナカにザーメン…とかさぁ………
もっとナカに…とかぁ……」
「わぁっ! い、良いからっ! 言わなくて良いからぁっ!!」
瞬時に昨夜の事だと把握出来た杏子の顔は羞恥に赤く染まる。
「外の通りでも聞こえたわよぉ?」
ニヤニヤとした笑みを絶やす事無く、恭子は意地悪く言葉を吐き出す。
「あ、あぅ……。あ、あれは………」
「あれはぁ?」
そっぽを向く杏子の視線だけがチラチラと恭子へと向く。
相変わらず、ニヤニヤとした笑みを浮かべている恭子。
…これ……絶対……声…洩れてたパターンよね………
昨夜のセックスの時に声を抑えきれなかった自覚がある杏子。
艶めかしい喘ぎ声を聞かれていたという事実に、顔ばかりか体までが熱くなってくる。
…暫く出張だっていうから…張り切ったのが………
自分から誘い、与えられた快感に溺れた昨夜の自分を恨めしく思う杏子。
…何であたし……昨夜はあんなに乱れちゃったんだろ………
思い起こせば、普段は男勝りで通っている自分が、女性フェロモン全開でよがり狂っていた事に戸惑う。
「…いいなぁ……。私なんて……はぁ………」
しかし、そんな戸惑いはボソッと呟いた恭子の言葉に掻き消されていった。