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とあるオクサマのニチジョウ
第5章 葛藤するオクサマ
「えっ? 私なんて…なに?」
呟きを聞き逃さなかった杏子は、ここぞとばかりに身を乗り出す。
「えっ? えっ?」
その勢いに、顔面ウーロン茶塗れの恭子はたじろいで、椅子の上で身を引く。
「恭子姉ぇ……。なぁにがあったのかなぁ?」
形勢逆転とばかりにニヤニヤと笑みを浮かべる杏子。
「あ、いや…あの……その………」
まさか、浮気した挙げ句、正行にも相手にされなかったとは、後者はともかく、前者は言う訳にもいかない。
「ほらほらぁ。早く割っちゃいなよぉ」
杏子のニヤニヤは止まらない。
先程の恭子よりもテーブルに身を乗り出し、黒いタンクトップの胸元から深い胸の谷間を覗かせて問い詰めていく。
「あ、いや…だから……ね…」
恭子はウェーブを掛けた髪を顔の両脇に垂らし、俯きながら白いキャミソールの裾を指先で抓んでモジモジ。
白い太腿の間からチラチラと赤いショーツを覗かせて、必死に言葉を探し出す。
「あぁ……恭子姉……飲みが足りないよ、飲みがぁ」
酔って口を軽くさせようとする杏子。
「あ…そ、そうよ…ねぇ」
呑んで、少しでも時間を稼ぎたい恭子。
あわよくば、済し崩しに有耶無耶にしようと目論み、差し出された缶ビールを受け取る。
「今日はウチも恭子姉のトコも居ないんだし飲み明かすわよっ」
缶ビール一本もいらずに酔える下戸の杏子の言葉に、恭子は苦笑を浮かべながら缶を傾けた。