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とあるオクサマのニチジョウ
第5章 葛藤するオクサマ
 
「………失敗…したわ…」

「う…にゅぅ……」

 呆然として呟く杏子に、杏子に抱き抱えられながら言葉にならない声を洩らしている恭子。

「聞き出すばかりか……まさか、あんなに飲まれるとか………」

 恭子を抱き抱えながら振り返れば、テーブルの上には缶ビールタワー。

 少なくとも片手以上の本数があり、どれもが中身は入っていなかった。

 その内、杏子が口にしたのは半缶分だけで、残りは全て恭子が飲み干していった。

「てか、あれだけ飲んだり食べたりして……
 何でこんなに軽いのよ……
 おっぱいだってデカいのに……」

 女の杏子でも、苦労せずに抱えられる重さ。

 胸に大きな脂肪の塊を持っていても、移動するのは容易かった。

「ふにゅぅ……」

 酔い潰れて寝惚けた声を吐き出す恭子の見事なプロポーションに、杏子は僅かな苛立ちを覚えていた。

「少しは胸のお肉…寄越しなさいよねぇ………」

 しかし、杏子は杏子で、恭子以上の爆乳の持ち主であり、体重もさほど変わらない。

 髪型や肌の色以外は、殆ど似通っている事に気付いていない。

「はぁ……よっこい…しょっと」

 体型に悩みを持つ女性を敵に回すような発言をした杏子。

 おっさん染みた言葉を吐き出して、恭子を自らの布団の上に転がしたのだった。
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