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夏の魔法
第4章 『幻想』に近づけば
「千里は覚えてないかもしれないけど…服部旅生って小学生ん時、ちょっとだけ一緒のクラスだったヤツな」
言葉を飲み込むのに時間がかかる千里に
敦士は捕捉を加える
「…旅生…?」
「そそ、俺らはそん時『カビ男』とか呼んでた…」
うっすら
本当にうっすらと思い出してきた
少しだけ癖のある髪に遠くを見るような瞳
『カビ男』と囃し立てる男子を
悲しそうな顔で微笑む子供のタビオ
千里が思い出せるのはそこだけ
何を話したとか全く思い出せない