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くちなし
第2章 香
「ん…っ!黒田っ…。」
「何でしょうか?お嬢様?」
私の気持ち良いところをなかなか触ってくれない。

「お願い…っ。触って…。は…あっ!」
「ダメです。これ以上声をあげられては、バレてしまう。
 お静かに出来ますか??」
「んっ!ああっ!ふ…く…ろだっ!…んんっ!んー!!」
「シー…っ。」
黒田は、左手で私の口元を押さえる。
「お静かに…と言ったはずですが?わかりませんか?
 ならば、身体に教えるだけです…よ!!」

ーくちゅ!くちゅ!ー

「ふんっ!んんー!!」
「やはり、鳴きますか??クスクス……ん…。っはぁ…」
深い口付けをされる。
「んっ…。っあ!!ダメっ!」
「お静かにっ!」

ーぐちゅ!ぐちゅぐちゅっ!ー

「っ!!んあっ!あぁっ!」
黒田は、艶っぽい目で私を見つめる。
その視線を感じながら果ててしまった。

「クスクス…いきましたか…?
 濡れすぎですよ…お嬢様…ちゅっ…」
私を見下すように見る黒田。
そう、その冷め切った目。
私はそれで正気に戻った気がする。

「んん…やはり、お嬢様は魅力的な香りがする。」
黒田に香りのことを言われても気にならない。
私が変化した時から側にいた人だからだろうか。

「黒田…。これ以上は、してくれないの??」
「ええ。いけませんよ。」
乱れたスーツを直し、使用人の顔に戻っている。
あの男に見える黒田はここにはもういない。
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