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くちなし
第2章 香
「では、私は夕食の準備がありますので、失礼致します。」
ーバタンー
黒田は、私を見てくれないの?
私で遊んでいるだけ?
あんなに、冷め切った目で私を見るの?
わからない。
「…っく…。黒田っ…。」
この心にしみていく、切なさは何だろうか。
涙が溢れてくる。
雅の部屋を後にした黒田は、廊下を歩きながら呟く。
「…くそっ!!雅…。俺は…っ。」
当たり散らすことも出来ずに、拳を握りしめる黒田。
「…ねぇ?黒ちゃん。」
黒田は、ハッとして振り返る。
「若様。何かございましたか?」
「はは!何かあったのは、黒ちゃんの方でしょ?
今更、しらばっくれるのかい?」
空気がピリッとしている。
「若様。何をおっしゃっているのか…。」
「わからないの?鈍いなぁ…それとも…演技かい?クスっ」
「若様、申し訳ございません。夕食を支度へ参りますので、失礼致します。」
黒田は、悠に背を向ける。
「こんなに、あのこの香りさせて?クス…
本当に、お前ははしたないね。まぁ…。
それは僕も一緒か。楽しみにしているといいよ。」
悠は、去って行った。
「あの男…何を考えているんだ。」
悠に向けて黒田が言い放った。
夕食まで少し時間がある。
「温室まで行ってこようかな…。」
私の心が休まる唯一の場所だ。
足を踏み入れると、8年前までは、一角にしかなかった『くちなし』の花が増えている。
ーガサッ!ー
「ひゃっ!だ、誰?!」
人の足が見える。
もしかして…倒れているの?
「あなた…誰なの…?ここは、温室…で…。」
ーガサガサっ!ー
「きゃっ!!!!」
思いっきり目をつぶる私。
「あ。雅。」
へ?
「何間抜けな顔してるの?」
「お、お、おお兄様!!!」
「ん?どうかしたかい?」
悪びれた様子もなくニコニコしている。
ーバタンー
黒田は、私を見てくれないの?
私で遊んでいるだけ?
あんなに、冷め切った目で私を見るの?
わからない。
「…っく…。黒田っ…。」
この心にしみていく、切なさは何だろうか。
涙が溢れてくる。
雅の部屋を後にした黒田は、廊下を歩きながら呟く。
「…くそっ!!雅…。俺は…っ。」
当たり散らすことも出来ずに、拳を握りしめる黒田。
「…ねぇ?黒ちゃん。」
黒田は、ハッとして振り返る。
「若様。何かございましたか?」
「はは!何かあったのは、黒ちゃんの方でしょ?
今更、しらばっくれるのかい?」
空気がピリッとしている。
「若様。何をおっしゃっているのか…。」
「わからないの?鈍いなぁ…それとも…演技かい?クスっ」
「若様、申し訳ございません。夕食を支度へ参りますので、失礼致します。」
黒田は、悠に背を向ける。
「こんなに、あのこの香りさせて?クス…
本当に、お前ははしたないね。まぁ…。
それは僕も一緒か。楽しみにしているといいよ。」
悠は、去って行った。
「あの男…何を考えているんだ。」
悠に向けて黒田が言い放った。
夕食まで少し時間がある。
「温室まで行ってこようかな…。」
私の心が休まる唯一の場所だ。
足を踏み入れると、8年前までは、一角にしかなかった『くちなし』の花が増えている。
ーガサッ!ー
「ひゃっ!だ、誰?!」
人の足が見える。
もしかして…倒れているの?
「あなた…誰なの…?ここは、温室…で…。」
ーガサガサっ!ー
「きゃっ!!!!」
思いっきり目をつぶる私。
「あ。雅。」
へ?
「何間抜けな顔してるの?」
「お、お、おお兄様!!!」
「ん?どうかしたかい?」
悪びれた様子もなくニコニコしている。