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くちなし
第2章 香
昴が言っていたこと。
兄が言ったこと。
なにか、引っかかってしまう。
私は、これからどうなってしまうんだろう。
自分でもなんとなく、ことの事態はわかっているんだろうが、気づきたくないと思っている。
「はぁ…。」
私もくちなしの花に囲まれて、考え事をしてしまった。
その日の夕食は、喉を通らず残してしまった。
自室へ戻るとすぐにベッドに横たわってしまう。
ーコンコンー
「お嬢様。よろしいでしょうか。」
「ええ。」
ーガチャー
「今夜のお食事は、お口に合いませんでしたか?
なにか、お持ちいたしましょうか?」
「黒田…。」
ードンっ!ー
「どうされましたか?」
黒田の胸に顔をうずめる。
「………。」
黒田が私の頭を撫でてくれる。
「私怖いの。」
「怖い…ですか?」
「そう。怖い。私が間違って生まれたんではないかと…思うと怖くて息ができないくらい、苦しい。」
「原因はなんでしょうか?」
「…私自身かな…。」
「………。私は、お嬢様に仕えております。故に、お嬢様にはいていただかないと、私も生きている意味がなくなってしまいます。」
「私を興味本位で寄ってくる人はいるけれど、私の中身はなにもしらない…。この香りに惑わされているだけだわ。
大正時代に娼婦として生まれていたら、さぞかし人気があったでしょうね。」
「お嬢様…。何を仰いますか。止めてください。
きっと、お嬢様の中身に目を向けてくださる方もいらっしゃいますよ。」
私を宥めるように話す黒田。
「黒田は、私のこと好き?」
まっすぐ黒田を見つめる。
少し頬が赤らんだらように見えた。
「ええ。お嬢様を慕っております。お仕えしておりますので。」
兄が言ったこと。
なにか、引っかかってしまう。
私は、これからどうなってしまうんだろう。
自分でもなんとなく、ことの事態はわかっているんだろうが、気づきたくないと思っている。
「はぁ…。」
私もくちなしの花に囲まれて、考え事をしてしまった。
その日の夕食は、喉を通らず残してしまった。
自室へ戻るとすぐにベッドに横たわってしまう。
ーコンコンー
「お嬢様。よろしいでしょうか。」
「ええ。」
ーガチャー
「今夜のお食事は、お口に合いませんでしたか?
なにか、お持ちいたしましょうか?」
「黒田…。」
ードンっ!ー
「どうされましたか?」
黒田の胸に顔をうずめる。
「………。」
黒田が私の頭を撫でてくれる。
「私怖いの。」
「怖い…ですか?」
「そう。怖い。私が間違って生まれたんではないかと…思うと怖くて息ができないくらい、苦しい。」
「原因はなんでしょうか?」
「…私自身かな…。」
「………。私は、お嬢様に仕えております。故に、お嬢様にはいていただかないと、私も生きている意味がなくなってしまいます。」
「私を興味本位で寄ってくる人はいるけれど、私の中身はなにもしらない…。この香りに惑わされているだけだわ。
大正時代に娼婦として生まれていたら、さぞかし人気があったでしょうね。」
「お嬢様…。何を仰いますか。止めてください。
きっと、お嬢様の中身に目を向けてくださる方もいらっしゃいますよ。」
私を宥めるように話す黒田。
「黒田は、私のこと好き?」
まっすぐ黒田を見つめる。
少し頬が赤らんだらように見えた。
「ええ。お嬢様を慕っております。お仕えしておりますので。」