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くちなし
第3章 闇
「雅。お前って本当ブラコンだな。兄さんも、シスコンだけどな!」
「そんなことない!お兄様を尊敬してるわ!いつも優しくしてくれるし…。」
「優しく…ね。…わかったよ。行くぞ。」
ーグイっ!ー
手を掴まれ、引っ張られる。
「ちょっと!行き先くらい教えてよ!」
「………………。」
善は無言のまま歩き始めた。
繋がれた手。
感じる善の熱。
「善…手…もう離しても大丈夫だよ。」
「あえて繋いでんだよ。」
「え…。」
「お前、鈍いんだよ。どーしたらそんな鈍感になれんだ?あの昴ってやつお前のこと狙ってんだろ。お前は大人しく俺に守られてればいいの。」
善は私を心配してくれて…こんな強引に?
私を守ってくれるの?
「善…。ありがとう。」
「何いってんの?俺が嫌だからそうしてんだよ。」
善と歩いて行くと、高台に着いた。
何か懐かしい景色と草木の匂い。
吹き抜ける優しい風。
落ちる夕日の色。
「綺麗…。」
「ここ、俺好きでさ。たまに一人で来るんだよ。」
「気持ちいいね。心が静まる。素敵…。」
「そうだろ?…なぁ。雅は好きなやついるのか?」
「え?…………。うん…。」
黒田の顔が浮かんでくる。
「そうか。そいつと上手くいくといいな。」
「もう、会えないんだけどね…。」
「ふーん。世界は狭いぞ?意外と側にいるかもな?」
善は私の心を救ってくれるように言う。
「………。」
会えないことが実感させられ、泣きたくなってくる。
「大丈夫だ。寂しい時は俺を頼れよ?」
「…ありがとう?」
「そんな顔すんな。抱きしめてやりたくなる。」
善が切ない顔をする。
「善…お願い。抱きしめて…。」
ーぎゅっー
もっと強く。
黒田のこと忘れられるように。
「雅…。辛いんだな…。俺じゃそいつの代わりになれないのか?」
「善は善だよ。誰の代わりでもないよ。」
ハッとした顔をして、視線をずらす。
ーちゅっー
驚いて目を見開く私。
綺麗な善の顔がすぐそばにある。
壊れ物に触れるような優しいキス。
「そんなことない!お兄様を尊敬してるわ!いつも優しくしてくれるし…。」
「優しく…ね。…わかったよ。行くぞ。」
ーグイっ!ー
手を掴まれ、引っ張られる。
「ちょっと!行き先くらい教えてよ!」
「………………。」
善は無言のまま歩き始めた。
繋がれた手。
感じる善の熱。
「善…手…もう離しても大丈夫だよ。」
「あえて繋いでんだよ。」
「え…。」
「お前、鈍いんだよ。どーしたらそんな鈍感になれんだ?あの昴ってやつお前のこと狙ってんだろ。お前は大人しく俺に守られてればいいの。」
善は私を心配してくれて…こんな強引に?
私を守ってくれるの?
「善…。ありがとう。」
「何いってんの?俺が嫌だからそうしてんだよ。」
善と歩いて行くと、高台に着いた。
何か懐かしい景色と草木の匂い。
吹き抜ける優しい風。
落ちる夕日の色。
「綺麗…。」
「ここ、俺好きでさ。たまに一人で来るんだよ。」
「気持ちいいね。心が静まる。素敵…。」
「そうだろ?…なぁ。雅は好きなやついるのか?」
「え?…………。うん…。」
黒田の顔が浮かんでくる。
「そうか。そいつと上手くいくといいな。」
「もう、会えないんだけどね…。」
「ふーん。世界は狭いぞ?意外と側にいるかもな?」
善は私の心を救ってくれるように言う。
「………。」
会えないことが実感させられ、泣きたくなってくる。
「大丈夫だ。寂しい時は俺を頼れよ?」
「…ありがとう?」
「そんな顔すんな。抱きしめてやりたくなる。」
善が切ない顔をする。
「善…お願い。抱きしめて…。」
ーぎゅっー
もっと強く。
黒田のこと忘れられるように。
「雅…。辛いんだな…。俺じゃそいつの代わりになれないのか?」
「善は善だよ。誰の代わりでもないよ。」
ハッとした顔をして、視線をずらす。
ーちゅっー
驚いて目を見開く私。
綺麗な善の顔がすぐそばにある。
壊れ物に触れるような優しいキス。