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くちなし
第3章 闇
「わ、私もそんなに子どもじゃないわ…。」
「ふぅん。それじゃあ、そんな話じゃ驚かないか…。クスクス…それじゃあ…」

ードサッ…ー

ごめんよ。雅。真実を告げるにはあまりにも酷か。

「や…お兄様…何して…。」
怯える雅の瞳。
「もう、子どもじゃないんだよね?雅。それじゃあ…
 僕が何をしようとしているかわかるだろう…?」
「いや…お兄様…。」
雅の手首を抑え込む。
「雅がそばに居て欲しいと言ったんだろう?」
妖艶な笑みを浮かべ私に覆い被さる姿は、もう一人の兄には見えなかった。

「兄妹なのに…私そんな目で見れない…。」
「実の兄妹…じゃないんだよ。」
「え…?」
僕は本当に最低だ。ずっと秘密にして、僕だけの心の中で留めておくはずだった事を…誰にも知られてはいけないことを…。
「お兄様…?どういうこと…?」
声が微かに震えている。
「そのままの意味だよ。僕の可愛い妹のままで居られたら…よかった…けれど僕だって…雅が愛おしい。それは、妹ととしてではなくて…女性としてだよ。」
「そんな…。」
真っ直ぐ見つめられる瞳に吸い込まれてしまいそう。
信じられるはずがない。
幼少期には兄と遊んでいた記憶が鮮明に蘇ってくる。
「そんなはずはないって思ってる…?そうだよね。」
「もし…私たちが……兄妹じゃなかったら…。この同じ香りは…?」
「ん?この香りかい?これは父方の影響だよ。詳しい話は、今度ゆっくりしてあげるよ。」

「けれど…一線を越えたら…私達どうなってしまうの…?怖いわ…お兄様…。」
「大丈夫。全て預けて…。このことは、二人だけの秘め事だよ…?」

ーちゅっー

「んんっ…。」
「……っは…ここなら、誰にも邪魔はされない…。もう、怖いものなんて…ないんだよ。」

ーちゅく…ちゅー

「んっ…!っはぁ…。」
こんな官能的なキスは初めてだ。
全身が溶けてなくなってしまいそう。
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