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くちなし
第4章 迷
「ふーん。こんなに、彼の匂いを漂わせておいて?
 何かされたんじゃないかい?」
兄の声が低い。
「お兄様…っ!私は……。」
「お兄様…ねぇ?クスクス…。」
兄の声が冷たく響く。怖い。きっと、私が嘘をつこうとしていることはわかっているのだ。

「雅…。僕とキスしておくれ…?」
切ないような表情を見せる。
「……っん…。」
「…雅…。愛おしい…。兄弟なのは変えられない事実なのに…いけないとわかっているのに…。
 きっと君には、相応しい人がいる。その…相応しい人が現れるまで…こうして…いたいと思うのは…罪かい…?」
どうして、こんなに切ない顔をするの?
都合のいいことだと分かっている。
私だって、いつ兄が離れて行くかわからない。
迷路のような場所を二人歩いている。出口がない。

「悠……私のこと好き…?」
「今更かい?クスクス…僕は、ずっと昔から愛しているんだよ?妹としても…女性としても。
 君の香りが香り始めた時…。気が狂いそうなくらい、自制したことを…思い出すよ…クスクス
 近くにいるだけで、理性が崩壊しそうだった。」

また、そんな切ない顔をする。

「私も…好き…。」

ーちゅっー

「んっ…。…っあ。…んんっ…。」
「雅…!!」

ードサッ!ー

「あぁ…。雅…。すごく…綺麗だよ。
 今日は、お父様達も楽しんでくるだろう…。
 屋敷には、雅と僕だけだよ。楽しもうか…?クスクス」
「お兄様…っ////」
火照った身体が重なり、洋服が床へ落ちる。

「雅…いけない子だね。お兄様でなく、悠だろう?」
「んっ…あぁっ!…ひ…悠…あっ!」

乳首をつままれると身体に電流が走ったようにビリビリする。
「しー!まだ、大きな声は出してはいけないよ?」
「だって!いきなり!……っん!」
「可愛い声も…もっと聞きたいんだけれど…今は静かに…ね?…っちゅ…」
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