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くちなし
第9章 昴
「お邪魔します…。」

家族のわりに、家は、大きくて資産家の家とすぐにわかった。

「今日は、親がいないの!だから、二人っきりなの。」

「はっ?なんだよ…。んじゃあさ…こんなことしても…」

ードン!ー

「っつつ!」

唇を重ね、明里の体を強引に壁へ押し付ける。

「バレない…な…?」

「昴くん…。」

そんな目でオレを見るな。
顔を真っ赤にして、濡れた唇で…俺を誘ってんのか?

「なぁ。明里。俺のこと誘ってんの?」

「や…違う…。……けど、嫌じゃない…。」

「違わないよな?こんなに、瞳潤んでてさ…。
 もっとしてって言ってるみたいだ。」

「昴くんのエッチ…。」

「ばーか。男は皆そんなことしか考えてねーよ。」

ーちゅっー

お互い引き寄せられるように、キスをする。

「私、本当はお父さんのこと好きじゃないよ。
 けど…抱かれたのは…事実。そんなの…望んでなかった!
 怖いの…私の身体が汚くて…。」

明里は、悲しい目をする。
そんな彼女は少し震えているように見えた。

ーぎゅっ!ー

彼女の身体を抱き寄せる。

「…大丈夫。見方だよ。安心して…。」

「昴くん…私…好きになっちゃうよ…?」

「いいよ。好きになったら付き合えばいい。」


そうして、二人は付き合うことになった。
明里の両親に認めてもらいたくて、必死に私生活を改善していた。
成績は悪い方ではなかったのが救いだった。
どんどんと上位へ成績を上げていった。

女遊びもキッパリ止めて、自分の人格さえも変えようとした。
周りの目が変わり、クラスの中心的な存在へとなった。
そうなるに連れ、明里は嬉しそうにする。

「昴くん!勉強教えて欲しいんだけどー。」

クラスの女子に言われるのは日常茶飯事だった。

「んー。仕方ない!いいよ!」

明里をチラッと見つめると目があった。
指でオーケーを作り、図書館で待ってもらうことが日課になった。
早く勉強を済ませ、図書館に向かう。
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