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目が覚めたら。
第6章 変態王子が暴走しました。2
「しーちゃん、ハル兄とキスしたいの?」
怯えたように揺れる目だけが、寄越される。
「昨日。ハル兄と……どんなキスしたの?」
声が泣きそうに震えている。
「僕とするより……気持ちよかった? 激しかった?」
まるで、答えを聞きたくないのに聞かざるをえないというように。
それはナツの悲鳴のように思えた。
「……してないよ」
あたしは薄く笑った。
「ハル兄に拒否られたさ、あたし。そういう……恋人達がするようなキスは、ナツとしろって。ちょっとね、ハル兄の中の女の区分けがよくわからなくて考え込んでしまっただけ。深い意味はないから」
別のウェイターがサラダを運んできた。
「……。波瑠兄、恋人のキスをしなかったんだ……。しーちゃんに」
ナツがサラダにフォークを入れた。
食べるというより、ざくざくとフォークで突き刺しているように思える。
暗い顔で、ざくざく、ざくざく……。
結構、恐いものがある。
「恋人のキス……しーちゃんだけにしなかったんだ、あの波瑠兄が」
ざくざく、ざくざく……。
「もうそれはいいでしょう、ナツ」
おかしな方向に突き抜ける前に、あたしは慌てて止めた。
「………。しーちゃん。僕はするからね?」
そんなあたしに真摯な目が向けられる。
「僕は、しーちゃんがどんなに拒んでも、恋人のキスをするから。むしろ恋人のキスしかしたくないから。しーちゃんだから、そういうキスをするんだからね!?」
煽られたように、ナツまであたしの胸ぐら掴んで、ディープをやらかす。
「ナ……ツ、んんっ……あっ……やっ……」
本気で攻めてきたから、慌ててあたしはナツを押しのけた。
案の定、嫉妬の視線の嵐。
「僕はしーちゃんとキスしたい。もっと淫らに濡れた舌をねっとり絡ませて、しーちゃんが感じる舌の横側を舐めた後しーちゃんの舌を強く吸って、僕の舌をしーちゃんのお口の中に暴れさせて! 甘く激しく、しーちゃんをとろとろにさせたいっ!」