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目が覚めたら。
第6章 変態王子が暴走しました。2
ハル兄の横顔はナツに向けられ、横にいるあたしに向けられることはない。
右手は相変わらずタバコを吸っている。
だが左手は、左に座るあたしの太腿の上。
ぞくぞくするようないやらしい動きをして、スカートの下に入ってきた。
あたしは驚き慌ててスカートの上から、ハル兄の手を押さえつける。
だけど無駄だ。押さえつけてももぞもぞとハル兄の手は動く。
深く深く……深淵たる足の付け根を求めるように。
今までハル兄はこんな"オイタ"をしたことはない。
なんで、なんで急に!?
まるであたしのことはよく知っているんだとでもいうように。
この手の動きを、手の熱さを忘れるなとでも言っているように。
そして次第に気づく。
ナツがあたしに、"親密"なことを言う度に、ハル兄の手が蠢くことを。
……嫉妬?
まさか!! ハル兄は行為の最中でも、キスをしなかった。ナツを推していたくらいだ。なんで妬くことがある。しかもこのあたしに。
しかもあたしの身体のことを、堂々と公衆の場で弟に話してしまえるくせに。そんな程度に扱ってるくせに。
わかってるよ、ハル兄は恋愛感情などなく、担当医として幼馴染としてしか思ってないこと。
だから余計に……ああ、憎らしい。
ナツに気づかれたくないという思いがあるために、ハル兄の手を毅然と振り払えない。そしてハル兄の手は、きっとあたし如きの払い方では痛くも痒くもないだろう。
ああ……ハル兄。動かないで。その指……あたしの感じる部分に近づけさせないで。ああ、もどかしく余韻を残さないで。
そんな時、デザートが運ばれてきたが、ハル兄の手は離れることはなかった。もともとどんなに評判であろうと、デザートの甘味を感じないあたしではあったが、今は感触をも味わう余裕がなく。
ハル兄の手を追い出そうと必死だ。
「ふふふ、あとでたっぷり甘いのあげるからね。しーちゃん。食前と食後にフルコースだね」
ナツが微笑みかけると、突如ハル兄の手が忙しく動き始める。
着替えたばかりのショーツの際どいところを指でなぞり、あたしはひっと引き攣った呼吸をした。