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目が覚めたら。
第6章 変態王子が暴走しました。2
 

「ナツ、やっ、ねっ? 場所……せめて変えて、ナツ。だめ、それ以上したら口きかないっ!」


 あたしの激しい抵抗にしょんぼりとしてナツは身を起こす。


「しくしく……」


 泣いちゃった。すすり泣き始めてしまった。


 だから心痛めてしまったあたしは言わざるをえないじゃないか。


「ナツ、レポートの時間はノーカウントでいいから、まずはレポート完成させて? もしなんならあたし手伝うし。ね、その後にいちゃいちゃしよ?」


 まるであたしの方が90分を楽しみにしているかのように。


 すると、ナツの口元が弧を描き……


「撤回させないからね。お手伝いと、90分のイチャイチャ」


 ……やられた。


 確信犯のナツは上機嫌。


「僕はね、貪欲なんだよ。しーちゃん手に入れるために、他を犠牲にするつもりはない。すべてすべて、僕のものにするんだ」


 さすがは帝王の弟君。

 その眼差しは、肉食獣の引力。


「僕のものにはたっぷり愛情を注ぐよ、しーちゃんならもっと濃い愛情をとっぷりと。しーちゃんに注ぐ愛情が足りなくて、だからしーちゃんが僕がなくとも平気だというのなら、求めさせてあげる」


 そしてナツは鞄をがさごそと漁り、なにやら薄いピンク色の円筒状のものを取り出した。

 長さ的にはナツの中指くらい、太さは指2本分くらいか。

 片方の尖端には小さなボタンのようなものがあり、もう片方の尖端には取っ手のようななにか飛び出た部分がある、不思議な形状だ。


 これ、なんだろう?


「ふふふ、これがサクラのプレゼントだよ」


 正体不明なそれを、掌で包んでみたり尖端をつついてみたりと、念入りに触り始めたあたし。

 それを見ていたナツが、なぜか少し頬を赤く染めていた。


「なんなのこれ?」


 模様もなく、表面はお餅のようなもちもち感とマショマロのようなふわふわ感の中間あたりの、とにかくひたすら気持ちがいい触感だ。

 くねくね動くみたいだけれど、中央には芯のような硬いものが通っていて、ふたつ折りまでには屈折することはできない。
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