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目が覚めたら。
第6章 変態王子が暴走しました。2
「ふふふ、わかったようだね。だから『イカズコロサズ』。これはね、SM寄りのソフトな調教玩具として開発中のものなんだって。しーちゃんのナカのひくつく具合とオマメの膨張具合を、尖端の……ボタンをかねたセンサーが感知するから、しーちゃんが絶頂間近になった途端、動きを変えるの。……どう?」


「うう……やだ。とって……。これ」

「だめ。僕レポート中だから。しーちゃんが言ったんだよ、レポートしろって。だからしーちゃんのお願いはレポートの後」


 ウィン、ウイン、ウィン。


「ひっ、ひぁっ、んっ、んん――っ」


 突き上げてくる快感。それに身を任せたくなった途端に勢いを無くす。

 ざわざわとしていた鳥肌が、一気に抜ける。


「はい、次は――」



 物足りない。

 物足りない。


 刺激が強くても、なにかが足りない。

 計算し尽くされた豊富な動きをしても、あたしは夢中になれない。


 快感に翻弄されつつも、それでも冷めた部分があたしにあるのがわかる。

 じゅくじゅくと蜜が滴り滑りがいい状態なのはなんとなくわかるけれど、心が体に追いつかない。


 違う、違う。


 あたしが欲しいのはこんな無機質なものじゃない。

 蕩けるような熱さが欲しい。

 生きた熱が欲しい。


 
 ナツ、あたしを見て。

 勉強なんてやめてあたしだけを考えて。

 あたしだけに集中して。


 その熱い目であたしを包み込んで、あたしに乱れた貴方の呼吸をちょうだい。息づいたナツの感触で、あたしはイキたい。


 やだ。

 こんな玩具やだ。


 あたしの体に火をつけたのなら、責任取ってよ。



「ナツ……ナツ……」


 あたしはナツの腕に縋った。


「なぁに、しーちゃん」

「ナツ……んんっ」


 涙で滲んだ目で、ナツの手からシャープペンを取り、ナツの指を口に含んだ。

 このもどかしい体の疼きをなんとかして欲しくて、ただ懸命にナツの指を舌で舐めて、ナツを見遣る。




 こくり……。


 ナツの喉仏が上下に動いた。
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