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目が覚めたら。
第6章 変態王子が暴走しました。2
 

「ちょーだい、これがいい……」


 ナツにねだった時、激しくなるオモチャ。

 発情モードのあたしの体は、快感を求めてぶるぶる震える。


 だけど欲しいのは、オモチャがくれる快感ではないんだ。

 ナツがいい。


 あたしは鼻にかかった甘い声を漏らしながらも、ナツの指を懸命に舐め続けた。切なくなる程、この指が欲しいと訴えた。


「ナツ……触って」


 口から引き抜いたナツの指を、ショーツの中に入れた。

 茂みに触れただけで、快感が走り抜ける。


「ん……こっちがいいの」


 細められるナツの目。
 
 その唇が扇情的に、半開きになる。


「ナツで……イキたいの。コレ……ナツの熱がないの」


 蜜壷を捻るようにくねくね暴れるオモチャ。

 それに合わせるように体を揺らすと、動きが緩やかになってしまった。


「ナツぅ……」



 ああ、イキたいのにイケない……。

 意識が朦朧として、狂い出しそうに成る程追いつめられる。


 あたしのナカで動きが止まる。

 ナツの手にはスマホがあった。


 ナツの唇が動く。


「しーちゃん……欲しいのは僕? 快感?」


 吐き出されるのは、熱に浮かされたような掠れた声。

 緩く恥丘を撫でるナツの手。


「ナツ。ナツがいい。こんなオモチャやだ」

「……ふふ」
 

 ナツの顔が緩み、そしてぞくりとするほどの男の艶に彩られる。

 手にしていた本を畳み、真剣に見つめてくるナツの顔が僅か傾けられる。

 近づけられた唇は、唇を突き出せば触れそうな至近距離。


 そこで熱い息を零しながら、艶めいた眼差しであたしに問う。


「僕が欲しいの?」


 顔にかかるナツの息遣い。

 甘い甘い香り。


 やられていく。

 立ち上るナツの甘さに――。



「ナツが欲しい……」


 包まれたい。

 甘い香りに、もっともっと。


 ナツは妖しく微笑んだ。


「……いいよ。しーちゃん、僕をあげる」


 ナツがくいっと唇を近づけた。



「おいで……静流」




 唇が触れあう――その瞬間。



 ゲホン、ゲホン、ゲホンっ!
 
 ゲホン、ゲホン、ゲホンっ!



 視界の端で真っ赤な顔をした、けたたましい咳払い委員長。

 
 ぶちっ。


 ナツからなにかが切れた音がした。
 
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