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目が覚めたら。
第6章 変態王子が暴走しました。2
委員長はキッとあたし達を潤んだ目で睨み付けると、大きいトートバックに荷物を掻き入れて、長いスカートを翻していなくなってしまった。
彼女にとって不埒すぎるあたし達は、地球外生物のように理解し難い種族であったろう。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
なんだか強制退去させられた彼女が申し訳なく、可哀想な気がする。
結局はあたしもまた、彼女の勉強の邪魔をして惚気てあてつけたのだ。
……しかも、あたしとナツは恋人でもないのに。
「おっかたづけ~、おっかたづけ~」
ナツの頭には、委員長の存在など既にないらしい。
頭に綺麗なお花をぽっぽぽっぽと咲かせて、ひたすら上機嫌で鞄に荷物を詰め、異物があるために蟹股歩きのあたしを連れ添うようにしてこの場を離れた。
「ふふふふ。しーちゃんが妬いてくれた! 僕に夢中になってくれてるなんて、しーちゃんを選んでくれなんて……ふふふ、ふふふふふ。僕はしーちゃんしか見えてないっていうのに……もうしーちゃんは可愛くてたまらないね。どうしよう、本当に僕どうしよう」
ぽっ、ぽっ、ぽっ。
ああ、今日はまた一段と沢山お花を咲かせたね……。
「Ru~rurururu~ru~。今日も良い天気~」
BGMは、ほのぼの系ご長寿国民的アニメらしい。
12年も続いているのだろうか。
……真実を話した方がいいのかな。
するとナツの頭に咲いたお花は枯れてしまうのだろうか……。
ナツの鼻歌に合わせて左右に傾げて動くお花があまりに可愛いから、このまま咲かせておいてあげよう。
多分、こうしたあたしの甘さがナツを暴走させる原因なのだと思いつつも、この子の幸せな顔を崩したくはない。今頃ナツの中のあたしは、ナツと手を繋いで"うふふふふ、あはははは"状態で海辺でも駆け回っているだろう。
ああ、なんて脳内青春。
現実のあたしは、おかしなものをまだ胎内に入れている恥女なのに。
なんだかなぁ、もう……。
あたしだって清々しい青春したいよ、心は17歳だもの。