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目が覚めたら。
第6章 変態王子が暴走しました。2

 ナツが、ゆっくりとあたしに覆い被さってくる。


「しーちゃん、首に……手、回して?」


 吸い寄せられるようなその美しい顔に、そのねっとりとした眼差しに、喉の奥がひりひりする程、ナツが欲しいと渇望した。


 だからこそ――。


「ナツ、ねぇやっぱり、危険なことはやめよう……」


 あたしはナツの肩を手で押す。


 もしもあたしがおかしな体質でなければ。

 もしもナツが早漏でなければ。


 あたしは迷わずナツに堕ちていたように思う。


 これだけ強くあたしを求めてくれるこの子を、拒む理由はないから。


 だけど――現実は厳しいのだ。



 体が求めれば、心が失うことを嘆く。

 どうしてもナツを失いたくなかった。


 それくらい、ナツが大事だ。


「また……理性?」
 

 長い睫毛に縁取られたアーモンド型の瞳が、苛立たしげに細められた。


「許さないよ? しーちゃんは邪魔されなければ、とっくに僕と繋がっていたんだ。しーちゃん、僕と繋がってもいいって……思ったでしょう?」


 熱い吐息を漏らして、ナツの舌があたしの耳の穴にねじ込まれ、その感触にあたしはぶるりと身震いをした。


「しーちゃん、本能で僕をまた求めて」


 ぴちゃぴちゃと耳を舐めるナツの舌使いが鼓膜を震わす。


「んっ……ナツ、あたしの口で……」

「駄目だ」

「ナツ……っ」

「駄目。しーちゃんと僕は、恋人のように結ばれるの!」


 首筋に歯を立てられ、思わず短く声を上げてしまった。

 ナツの苛立ちの表れなのだろう。


「ねぇ、ナツ。下のお口に挿れられるように頑張るってナツも言ってたじゃない。なんでそんなに焦るの? もう少し後でも……」


「先延ばしにしてたら……しーちゃんを奪われてしまう」


 ナツの顔があたしの真上に戻る。



 悲壮感漂う顔だった。
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