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目が覚めたら。
第6章 変態王子が暴走しました。2
「本当はわかっているんだ。僕が勝手に妬いてること。僕がひとり焦っていること。僕は12年後もまた、しーちゃんに相手にされていない気がして……。
しーちゃんの淫魔が目覚めたら、波瑠兄だって動かざるをえない。それにしーちゃん、大変な目にあったんだ……。その時僕はしーちゃんの傍にいなかった。……一番悪いのはしーちゃんを放置していた僕。だから波瑠兄に対抗するのは見当違いなことだってわかってはいるんだ。むしろ波瑠兄がいてくれて、しーちゃんを鎮めてくれて、ありがとうっていうべきなんだってことも」
ナツの潤んだ目が向けられる。
「もっと大人にならなきゃね。波瑠兄のように自分の心押し殺しても、僕のために"医療行為"を貫こうとした……そんな強い意志を持たなきゃ」
「自分の心?」
「ううん、僕の独り言。……まず僕が鍛えなきゃね、身も心も。しーちゃんが僕が欲しいとせがんでくれるようなそんないいオトコに。そのためには、僕が生きていなきゃね。……一番欲しいしーちゃんの愛も手に入れられなくなる」
ナツのキスが掌から手首に上がってくる。
「こうやって、しーちゃんを愛することも出来なくなる」
ああ、なんて切ない顔をして耐える表情を見せるのだろうか。
「しーちゃんのすべてを早く僕のものにしたくてたまらないけど、しーちゃんが僕のことを大切だと思ってくれるのなら……今は我慢する。
しーちゃん。どこにもいかないでね。僕がいること……忘れないで。
僕は決して諦めてないよ、しーちゃんの下のお口で繋がること。絶対絶対強くなって、しーちゃんが欲しくてたまらないって求めさせてみせるから」
そう笑うナツは悲しげで。
「大好きな女の子を、これ以上無いってくらい気持ちよくさせてあげるから。そして……僕と一緒にイこうね」
あたしは思わずナツを抱きしめた。
「ナツ。あたし、ナツをぎゅっとしているだけで、すごく気持ちよくなるんだよ? ナツはどう?」
熱いナツの体から、とくとくと生きている心臓の音がする。
それだけで安心する。
「うん……。生きているっていいね。鼓動が重なるのがわかるだけで、熱さを感じられるだけで、それだけで僕も気持ちいい」
そしてナツは両手をあたしの頭に回し、唇に優しくキスを落とす。