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目が覚めたら。
第6章 変態王子が暴走しました。2
 

 ナツはため息のような吐息を漏らし、あたしを見た。

 その目は熱を孕んで揺れている。


 しばらくあたしはナツと見つめ合っていた。

 見つめられると、ナツの熱が体に伝染する。


 抱き合ったままのふたつの体。
 
 とくとくと、ナツの心臓もあたしの心臓も速度が早まった。


 自然に互いを抱く手に力が込められる。

 熱い息が上がる。


 体の細胞が、熱に蠕動してしまい、押さえつけている衝動を煽る。

 ナツと溶け合いたい――。

 
 だけど、動くことのないふたつの体。

 動けないのは、あたしの言葉によって。


 自縄自縛――。


 ナツはなにか言いたげで、あたしもなにか言いたげで。

 だけど言い出せずにいるもどかしさ。


 あたしとナツが抱えるものは同じなのかよくわからない。

 だけどまるで違うものでもないはずだ。


 そこには確かに共鳴はあるから。


「……しーちゃん」


 ある種均衡状態にあったあたし達の距離を縮めたのは、切なげに目を揺らすナツだった。


「……好き。本当にしーちゃんが好き。最後までしないから……ねぇ、だからしーちゃんに触れるのはいい? しーちゃんを愛すのはいい? それは、しーちゃんの心縛ることに入れて貰える? しーちゃんを可愛がるのは、認めて貰える?」


 質問攻めにするナツの必死さが可愛くて。


「ん……いいよ。ナツ。上から目線で悪いけれど……あたし、ナツに可愛がられたい。まだ目標にもイキたりないしね」


 あたしが頷いて笑うと、ナツは嬉しそうに微笑んで、あたしの顔中に悦びのキスを落とした。


 一方的な献身をみせるのは、きっとナツ最大限の譲歩なのだろう。

 あたしの太腿に当たる、ズボン越しのナツのモノは大きく膨らんでいて。

 僅かに動いて、彼の苦悩をあたしに伝えてきていた。


 だけどナツは言わない。

 繋がりたいと、自分もイキたいとは。
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