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目が覚めたら。
第7章 鬼畜帝王が暴走しました。
ランボルギーニ・アヴェンタドール。
『アヴェンタドールは、イタリアの自動車メーカー、ランボルギーニが製造 するスーパーカーである。車名はスペイン・サラゴサの闘牛場において1993年10月から 活躍した雄牛の名にちなむ』
ナツがスマホでWikipediaなるものの画面を見せてくれた。
イマイチ凄さがわからなかったが、驚いたのはドアが翼のように上下に動いたこと。
――波瑠兄、でもこれ2人乗りじゃ……。
――ナツ。特別に俺様の下僕を足置きにすることを許す。
ああ、なぜか帝王様の怒りの矛先は、ナツよりあたしに向けられている気がする。法律違反なんのその、助手席に座るナツの足下に小さく丸まって入ったあたし。
ナツが、自分が替わると言い張ったけれど、いくら普通車より足下が大きい車とはいえ、180cm越えのナツには窮屈すぎる場所。まさにあたしが最適だった。
3人乗りに対応している流石は俺様の車と、帝王様は豪快に笑われた後、
「ぎゃああああああ!!」
闘牛の名前がつけられたこの車は、闘牛の如き猛スピードで走り始め、首都高をほぼノンストップで走り抜けた。
「すっごぉぉぉぉいっ! さすがはMAX350kmっ!」
男の子のナツはこの速度と帝王様のドライビングテクニックに感嘆の声を上げていたけれど、あたしはただひたすら震え上がって縮こまっていた。
「今度僕も運転してみたい!」
「……お前のあんなトロトロ運転にこの車はまだ早い」
「トロトロって……法定速度を守っただけじゃないか」
「あの時のフェラーリもだがな、スポーツカーは法定速度を破るためにあるんだ。おらっ、こんな風にな!」
ハル兄は何台の外車持ちなんだろうという疑問すら吹き飛ばし、パトカーのサイレン聞こえてからの運転は阿鼻叫喚。
度胸とスピード狂は、総長時代に培ってきたものなのか。
バイクだけではなく車の運転もイケるか、元総長の帝王。
そしてふらふらになりながら降り立った病院で、巣立つ準備と綺麗な清掃を強いられたあたしは鬼姑と化したハル兄に扱き使われ、またもや雄叫びをあげながら闘牛車にセカンドステージへと運ばれたのだった。
「僕としーちゃんとの、甘い余韻が……」
ナツがしくしくしていたけれど、そちらに構える状態では無かった。