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目が覚めたら。
第7章 鬼畜帝王が暴走しました。
 

 和洋折衷ふんだんに取り揃えられた豪勢なオードブル。

 特筆すべき特徴がない風貌でも、風貌以外の特徴はあるおばさま。

 昔からおばさんの料理の腕は超一流で、料理が得意では無かったママは随分とおばさんに料理を教えて貰ったり、お裾分けを貰ったりしていたことを思い出しながら、ほっぺたが落ちそうな料理に舌鼓を打つあたし。


「おいしい、おいしい」


 泣きながら笑っているのか、笑いながら泣いているのかよくわからない。

 とにかく懐かしいし、おいしい。


「うふふ。まるで昔の奈都のようにお鼻が出ているわよ」


 おばさんに言われて、あのハナタレ具合を思い出したあたしは、慌ててティッシュで鼻をかみかみ。


「変わったでしょう、あの子。あれで自然発育なんだから、人間の潜在能力って凄いなって思うわ」


 息子のことなのに、完全人ごとのおばさま。

 うっかりすると、視界の光景におばさまが同化してしまうから、その動きを捕まえておかねばならない。

 おじさんは今日だけ禁酒令が解けたらしく、忌まわしき記憶を思い出させる500ml缶ビールを両手に上機嫌。


 どこから取り出したか派手な三角帽子を頭に乗せ、メガネと赤い団子鼻とちょび髭がついた変装グッズをかけ、盛り上げ役に徹している。

 飲酒をした方が存在感を発揮しはじめるおじさんを見て、無理矢理ビールを付き合わせられたらしいナツとハル兄が、ソファで横に並んで冷めた会話をしていた。


「凄いね、これが団塊世代の"宴会部長"ってやつ?」

「あ? 部長になれねぇんだから、"宴会万年ヒラ"ってやつだろ」


 息子ふたりの会話に、おじさんは……しくしく泣き始めた。

 間違いなく、ナツのしくしくはおじさんの血を引いているのだろう。
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