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目が覚めたら。
第7章 鬼畜帝王が暴走しました。
あたしの共感を得られないのが原因なのか、ハル兄は髪をわしゃわしゃ掻きながら、さらに設定を追加した。
「俺はお前をまるでオンナ扱いしない。そしてお前の気も知らずに、お前の知らないところで恋人作って抱きまくってる。そんな中、お前と仲のいい美女を俺に紹介したところ、そのオンナは俺に溺れ、俺も満更でもなさそうで……傍目でもお似合いで、ふたりの意思確認さえ出来たら、家族も結婚まで行き着くものだと思っている。そこでお前はかなり嫉妬して、耐えきれず告白を……」
追加設定もやけに具体的だった。
なんだろう、そのドロドロ。
「……ハル兄。その可哀想設定やめようよ。まるで全然、脈ないじゃん。告白したって無駄に終わるような……」
「………」
今度はダブルでチョップが飛んで来た。
非難するようなハル兄の眼差し。
漆黒の瞳に、薄く膜が張られているように見えるのは気のせいだろうか。
「……はい、無駄に終わらせないために、告白が必要なんですね。だから必死になって告白をして欲しいんですね?」
ハル兄は無言で頷き、正解だと言わんばかりにあたしの頭を撫でた。
……なんだろう、ハル兄がなにも言えないほど、傷ついているような気がするのは。
まさかね、だってこのひと……男女の情の機微は疎いし。
というか、なんで自分が作った設定で傷つくことがあるの?
よくわからない。