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目が覚めたら。
第7章 鬼畜帝王が暴走しました。
「ハル兄、好きです」
「………」
「めっちゃ好きです」
「………」
「あたし、アナタのことが好き――っ」
「………」
肩でぜぇぜぇ息をしながらの、虚しいひとり芝居。
あたしを見下ろす漆黒の瞳は、焦れたように揺れてはいるものの……それに対しての反応はなく。むしろ機嫌が悪そうだ。
文句を言われない分、さっきよりはマシになったのだろうが、それでもOKが出ないのは、この演技ではハル兄は満足していないということ。
なんでだ?
笑っても噛んでもいないのに、なんでOKが出ない?
なぜこんなことをしているのかということよりも、なぜハル兄の了解がとれないかを悩むようになってきたあたし。
「……お前、今までのオトコに告ったことあんのか?」
「………。ない。そう言われれば……」
いつも告ってきた相手の強引さに引き摺られるように、付き合ってみたように思う。絆されたのだ。
ハル兄は微妙な顔つきになった。
「だからか。……心がねぇのは。白々しいというか、空々しいというか。まぁ、過去を思い出して俺に重ね合わせてきたら、ヤキ入れるけどよ」
なにか今、物騒なことを仰っていませんでしたか?
「シズ。言葉に心を乗せろ」
真面目顔のハル兄はさらにハードルを上げた。
ド素人の演技に心を込めろと。