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目が覚めたら。
第7章 鬼畜帝王が暴走しました。
 
「す、すすすす好きです」


 漫画で見た女主人公の告白場面を思い出して言ったら、頬を抓られた。


「お前わざと噛んだだろう」

「必死さが伝わるかと……」

「小細工は必要ねぇ。ドカンとストレートで来い」


 お気に召さないらしい。


 その後も色々試したが、ハル兄のOKは出なかった。

 お色気バージョンでのものでも駄目なら、どうすれば帝王を陥落できるというのだろう。


 帝王を翻弄できるオンナは、きっと帝王より最強の気がする。


 その後も安売りバーゲンのように好き好き言っていたら、好きという感情がよくわからなくなってきてしまった。


 言葉に込める、心というものがわからず……真剣に取り組んでいた分、あたしは途方に暮れる。

 あたしに、ハル兄のED治療は無理なのだろうか。


 心が折れてしまいそうだ。



「なぁ……シズ」


 上から落とされるハル兄の視線。


「俺をオトコとして意識して、ひとりのオンナとして俺を求めることは、愛することは……そんなに難しいことなのか?」


 切なげで焦れたような熱が、降り注いだ。


「……真剣になっても、想像すら出来ねぇのか?」


 両手があたしの頬に添えられ、ハル兄の髪があたしの視界で揺れる。


「とろけたような可愛いオンナの顔ができるのに、そこから愛には行き着かねぇもんなのか?

なぁ、演技でいいんだよ。俺をその気にさせてみろよ。……お前に愛されているっていう……そんな錯覚、起こさせてみろ。僅かでもいいんだよ」


 気怠げに微笑むその顔は、切実ゆえに悲壮感が漂っていて。


「シズ。どうしても俺がただの兄貴分としか思えねぇなら、そんな理性は今ここでは必要ねぇ。そんなもん壊して、さっさとただのメスに還れ」


 ……惹き込まれた。
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