この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
目が覚めたら。
第7章 鬼畜帝王が暴走しました。
 

 くらくらする。


 ハル兄から目を離すことが出来ない。

 ハル兄の熱を近くで感じたくてたまらなくなる。


 ……演技の域を超え、ハル兄を渇望してしまう。


「……お前、俺に……抱かれただろう? 俺に、抱きたいと強く思わせただろう? 俺を動かすほどの情熱で……今度は心を堕としにかかれよ」


 漆黒の瞳がなにかを語っている。

 叫び出しそうなほどの激情を湛えているのに、彼はそれを口にしない。


「シズ……」


 もどかしい熱をあたしに伝染させながら、ハル兄は訴える。


 熱い。

 ハル兄の熱で、体が熱い。


 熱で視界が潤んで見える。

 熱でハル兄が苦しげに歪んで見える。




「その顔で、俺の心が欲しいと……懇願しろ!」



 衝動的だった。


 あたしは伸ばした両手をハル兄の首に巻き付け、ハル兄の首筋に顔を埋めて言った。震えた……掠れきった声で。



「ハル兄……好き」



 どくん。

 ハル兄の体が揺れた。



「シズ……こっち見ろ」


 また唇が触れあいそうなその距離で、ぎらぎらと光るその瞳はやはりどこか憂いを帯びて悲しげで。



「俺の顔を見て、もう一度言え」



 どくん。

 今度はあたしの体が揺れた。



「静流」



 呼応したように、あたしの口から言葉が出る。



「好きだよ……ハル兄」



 なぜだか、涙が出た。


 涙で滲む視界の中で、ゆらゆらと揺れるハル兄が……陽炎のように幻になって消えてしまうように思えてしまい、恐くなった。


「どこにも行かないで……。ずっとあたしの傍に居て」


 ああ、きっとこれは演技だから。

 だからあたしはおかしなことを口走っている。


 これは、ハル兄の指導によって導かれた即興の言葉。



「……あたしだけを愛して。

あたしだけを……ハル兄の本気のオンナにして」



 そう思うのに、心が震えて苦しくて。

 まるで、本当に恋心を訴えているようだ。
/920ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ